宣言通り、8月は通いに通って落語会8回、行ってきました。
とはいうものの、林家染左さんの会と高津落語研究会のふたつだけで、高津落語研究会が7回という、尋常でない回数です。
ひとつの落語会にこんなに通ったのは、はるか昔の「松鶴・仁鶴十三夜」以来です。
夜診でいけなかった回もあるので、実際はもっと開催されており、4人の落語家さんも大変だと思います。
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林家染左さんは「まんじゅう恐い」、「稲荷俥」がよかったです。
自動販売機の飲み物に例えると(どんな例えなんだ?)、アイスレモンティー。
爽やかで綺麗に王道を行く落語です。
たまには心底ハジケた高座も見てみたいと、欲ばりな願望もあります。
桂ひろばさんは、体格からか、純粋にお好きだからかわかりませんが、相撲の噺を多く聞けました。
「宿替え」のようにちゃかちゃかした物よりも「佐野山」「高津の冨」のような鷹揚とした噺の方が引き込まれました。
飲み物に例えると、お茶。
爽健美茶の爽やかさではないので、抹茶系のお〜いお茶、というところでしょうか。
桂雀五郎さんは、子供(丁稚さん)の出てくる噺が楽しめました。
「質屋蔵」、「次の御用日」のこまっしゃくれた丁稚さんがなんともすっとぼけて愛らしいです。
なのに、最後まで聞いて大満足、とならないのはなぜだろう、と不思議です。
他のみなさんから、無口、と言われていましたが、高座にあがっての第一声から「私(観客)にむかって話しかけられている感じが少ない」のかなぁ、なんて思います。
飲み物では、常温のスポーツドリンク。
毎日おいしく飲むのだけれど、いつ何を飲んだか思いだせない、ということで。
笑福亭たまさんは、話す全てのことを全ての人にわかってもらいたい、というサービス精神満載で、何度も「わかりますか?」「私の言ってることわかります?」と確認されます。
落語のマクラも落語論だったり、少し哲学的だったりと個性派です。
ご本人が喜ばれるかどうかはわかりませんが、ふと「あ、今のは福笑さん」と感じる登場人物のやり取りや、左右でなく上下での人物の使い分けがあって、あの頃私のまわりの一部で伝説だった「キタの旅」が思いだされて感無量でした。
そんな新作落語たちもひとつひとつ面白かったのですが、私の一番は「船徳」でした。
飲み物では、あまり自販機にはありませんが、レッドブルなどのエナジードリンクかなと思います。
元気百倍もらってうれしい、でも体調の悪い時にはちょっと避けたい。
桂南天さんは、毎日放送の午後の番組「ちちんぷいぷい」の「昔のひとは偉かった」のコーナーのナレーションくらいしか存じ上げませんでしたが、たまさんとは別の意味のサービス精神旺盛で好きになりました。
私たちの世代の(元)落研部員が好きな(だった)落語家さんの話をするとき、桂枝雀さんと桂吉朝さんは外せない存在です。
ただ、枝雀さんは超個性的だっただけに、お弟子さんやそれ以外の他の方が同じように演じられてもジェネリック(枝雀さんもどき)にしか感じられないのが聞く私にとっての悩みの種でした。
南天さんの落語は、確かに枝雀一門の落語だな、とわかるのですが、枝雀さん臭が上手い具合に消化されて、場合によっては昇華されて、何ともおいしいイイ匂いになっていると思いました。
意図しておられるのだと思いますが、多くの落語で風景や情景を表すフレーズが付け加えられているのもとても素敵でした。
枝雀さんの、本筋とは関係ない「お月さんがまぁるいなぁ」とかのフレーズが大好きでした。
ただ、今回の「愛宕山」は、いくつかのひと言が逆に物語の流れを断ち切ってしまって残念でした。(ご本人の目に留まる事もないだろうマイナーなブログなので素人が勝手放題言ってます)
ということで、場内大爆笑の「代書屋」ではなく、お屋敷の気配と暑い暑い夏の日差しすら感じられるような場面から始まる「青菜」が私のベストでした。
飲み物では、ミックスジュースナタデココ入り。
甘くておいしくて、ちょっと味わいの変化も楽しめて。
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その昔、落語「研究」部なのだからと、落語会に行くたびにこんな不遜な感想文を書いていたことを思いだします。
当時は誰に見せるわけでもないので、「最悪、俺の方が上手い」などともっと失礼千万でした。
若気の至りです。
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落語会通いまくりの夏、は一旦終了しました。
一緒に行った娘は、「どんならんなぁ」と「ワヤやがな」のフレーズが気に入ったのだそうです。
それにしても、8回全部につきあった妻と娘はヒマなのかアホなのか・・・
これからは、と〜きどき、気分に任せて足を運んでみようと思います。
なんて思っていたら、10月8日に岡町の市立伝統芸能館で南天さんの落語会があるようで、次の会はこれにしようと決めました。
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