♥私は楽して儲けているのかな #3♥
2009.6.10
#3 医師を目指す子供はいるのか
医師になろうとする第一の動機は(おそらく)みな「志」ですが,収入が伴わないことがあきらかなのにその志を貫き通せるのはごく一部の限られた人だろうと思います.
ましてや,じわじわと拡がりつつある「まず不信ありき」の状況に耐えられるタフさを兼ね備えた人材なんて,どこを探したって見つかりっこないのではないでしょうか.
そんな「志」のタフガイはさっさと国境なき医師団とかで海外に行ってしまうのかもしれません.
実は医療の仕事が危険きつい汚いの3K(懐かしい)であることが世間にバレてきました(マスコミさんありがとう).
医者の平均寿命は一般平均よりもかなり短いと言われています.これはリッチに贅沢なものを食べてメタボだからではなく,様々な感染のリスクや過重労働,精神的ストレスによるものです.
「病気は時間を選ばない」というわけで労働時間が不規則で長いのはご承知の通り.
血液や尿(尿の特殊な匂いが診断に結びつくからってひとつひとつ匂ったり)や便(特殊な検査のために患者さんの一日分の便を溜めてそれを水と混ぜて溶かす作業はつらかったなぁ)や吐物(声を聞こうと口に顔を近付けた途端に大噴射,とか)にまみれます.きれいとは言い難いですね.
そのうえ収入も少ない,そして「医者かよ,ふん」とか言われた日には良いとこなし,です.
この状況でなお医師を目指すとしたら,その動機はどこにあり得るでしょう.
ベストのレベルを保とうと思ったら,希望者殺到の中で選びぬかれた精鋭で戦うのが良いに決まっています.
プロ野球しかり,Jリーグしかり,ましてや日本代表なんてうらやましい限り!
キーワードは「尊敬」と「収入」だと私は思います.
周囲から軽んじられたり軽蔑されるものを目標にはできないですね.また,尊敬されても貧乏暮らし,では「憧れ」にはなり難いようです.
官僚,は完全にアウト.政治家,はかなりツラくなってきた感じです.学校の先生,はかろうじて大丈夫ですか?
子供たちのあこがれの職業の順位を滑り落ちた時が日本の医療の終わる時かなと思います,
現実にはすでに「パン屋さん」にも負けているという話ですが...
医療の世界もとにかく大勢の子供があこがれ目指してくれる雰囲気と実態を作る必要があります.
もし本気で日本の医療の将来をうれうなら,マスコミはたとえウソでも現在の医療環境を「すばらしい.うらやましい」と褒めちぎることです.
私たちも内情の曝露などせずに,医者になってよかったぁ!と大声で叫び続けるべきです.
そうすると10年後には希望者が増え,レベルが上がり,内容が充実してきます.きっとその先には病気そして医療費の自然減がまっているでしょう.
よく言われる,頭がいいだけで医者に向かない人が医者になってしまう,と言う議論は,そんな人はお医者さんとして淘汰されればよいだけのことです.
研究者になるとか別の世界で働く道を選べばよいのです..
最初から「医師に向いている若者を選ぶ」なんて宣言する必要は全くありません.
Jリーグがユースやサッカー教室を持つように,医療界も青田買いを積極的に行っていくべきです.
今夏のボーイスカウトの高校生の大会(日本ベンチャー)大阪基地では阪大病院で先端医療の実際に触れる,というプログラムが企画されていました.
遺伝子の実験(自分でやってみる)から手術(自分でやってみる,わけに行かないので見学のみ)までのまさに素晴らしい企画で,私も参加したい(!?)ほどだったのですが,新型インフルエンザ発生で大会そのものが中止になってしまいました...これはとても残念.
結論...
医者っていい仕事だぜぇ,医者になって満足だぜぇ,みんなも医者におなりよぉ...
と言い続けます.
#おまけ
私は中央省庁の官僚はもっと給料をもらっても良いのではないかと思います.
周囲の羨望を集めるほどに能力のあるスポーツマンが努力の後にプロ野球選手になり何億円の年収を得ています.
同じようにとっておきに頭のイイものが狭き門の東大に入り,なお努力してごく狭き門の官僚になるのなら,それを達成したものにはそれ相応の収入はあっても良いのではないでしょうか.
なんといっても,日本という国のかじ取りをまかせるのですから.
収入を伴わないプライドの空回りはセコイずる賢さに結びつきそうに思います.
名実ともに超エリート,はそれなりに天下国家の大計を担ってくれるのではないでしょうか.
...甘いか?
少なくとも,今のように寄ってたかって「官僚が悪の根源」と責め立てるさまが画面に流れ続ければ,(例えそれが本当であったとしても)官僚になりたい子供はいなくなりますね.
倍率低くて少々デキの悪いのでも中央官僚になれる時代,日本国は大丈夫でしょうか.
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